賢明なる読者の中でも会社勤めの方はよくご存知だと思うのですが、社会人になると年1回の健康診断というものがあります。私も先週末、会社の健康診断を受けてきたのでありました。
会社の中に診療所があり、数名の看護婦と保健師がおり、さらに医者が日替わりで常駐する事になっているのですが、ここで読者の皆様に事前にお知らせしておきたい情報があります。それは僕の会社の診療所は全くもって不釣合いな事に、何故かトンでもなくかわいい人が多いのであります。先ず看護婦ちゃんはデビュー当時の南波杏の雰囲気を角度によっては醸し出していたり、さらにはカウンセリング等を行う保健師は穂花風味のスタイルと声を併せ持っているのであります。また、僕があえて金曜を指定した理由はもう一つあり、日替わりの医者が絶頂期の朝河蘭のような筆おろし痴女系の熟女なのであります。
どうせ脱ぐにもかかわらず、バーニーズの職人芸により不死鳥の如く蘇った
ストライプのスーツを纏い、外行き用のAntonio Mauriziの靴を磨き上げ(いきなりスリッパにさせられるのに)、普段会社にはしていかないBREITLINGの時計をし、さらに圧巻なのはバリウム検査非対象の人はTシャツ持参だったのですがそのTシャツまで
カニエ・ウェストがデザインした
最高にクールなアイテムを持参して臨んだのでした。
所定の時間に診療所に颯爽と赴き、まるでプレミアム女優の○○に出てきそうな看護婦ちゃんに説明を受けます。この段階でも既に私はおもしろ質問を連発し、ウィット(機知)に富んでる男感をアピール。
朗らかな笑顔で採集した尿を渡す。口内炎が出来ていたため、前日にチョコラBBを飲んだせいか黄色が強すぎて恥ずかしかったのですが、なんとかやり過ごしました。
先ずは恒例の身長検査。私は中学3年生で170cmを越えてからというもの、身長の伸びが完全に見込めないのですが、実は解る人には解るようにこの170の壁というものは非常に大きいのであります。よい例では天使さんなんかがどう頑張ってみても
168cm弱が限界であり、お気に入りのシークレットブーツをはいてようやく
虚構の170cmを手に入れているという涙ぐましいエピソードがあったりするんですが、私はいつもそれをおもしろおかしく笑っていました。
私は横目で南波杏風味の看護婦ちゃんの胸元をチラ見しながら、背筋をピンと伸ばしました。
「いきますよー、えーと、はい、
169.9cmですね~」
いやいやいや、ちょっと待って、有り得ないから、去年の身長見て、170.3とかでしょ!今のはちょっと胸元見てたから横向いちゃったんです!もう一回お願いします!と執拗なまでの再計測懇願の甲斐あり、何とか笑顔でもう一回再計測をすることに。
「いきますよー、えーと、はい、
169.9cmですね~」
オイコラ、ワレ。これヤクザなら確実にブチキレる所でしょう。再計測じゃないですからねこれじゃ。看護婦ちゃんにこれは
再計測ではなくこれはデジャブ現象である事を伝え、再び検査を要求すると、さきほどまでのプレミアム笑顔から一点、「お待ちの方がいますから。」と厳しく指導されてしまったのでした。
まさかの身長160台に引き摺り込まれたショックから立ち直れぬまま、次は某Moodyz系の美脚セレクションに出てきそうな保健師のところへ。ここでは主に精神的ストレスやら生活習慣やらを指導されるのですが、ここでも機知(ウィット)に富むジョークを連発し笑いを誘い、撮影前のインタビューみたいな雰囲気に。もしかしたら網タイツごしの足コキくらいならやってもらえたかもしません。そして話は生活習慣になり、運動は何してますか?との問いに「ゲームです!」と何の躊躇もなく答える私。ジョークと勘違いされながらも、必死にバーチャはスポーツであり、
とある知人などは肘を痛めるまで運動している事等をアピール。アピールの甲斐空しく、懇々と運動不足の弊害を説教されることに。そして最後にメタボリックの怖さをレクチャーされ、念のため腹囲を測定する事に。ご存知の方は多いかもしれませんが、メタボの要件の一つに腹囲を単純に85cmオーバーというものがあります。つまり腹囲85cmオーバーしているとメタボの基準を一つクリアする事になります。それじゃ測りますねー、あら、おへそどこかしら。といいながら腹をまさぐられる。シュルシュルっとメジャーで巻かれていくと、予想外の数字が・・・・。穂花風味の保健師さんもかなり意外だったようで、あら?もしかして・・・?みたいな雰囲気に。とっさに私はヤバイと判断し、
屈伸で鍛えた即座の”腹ひっこませ”を披露。しかしながら穂花風味は格上だったようであり、私の腹が屈伸した瞬間に「お腹へっこましちゃ駄目よ」と厳しく指導されることに。もう観念した私はそのまま腹を突き出したのでした。
「えーと、84.5cm・・・・
でも最初お腹へっこましたから+1cmね」
「ちょw」
「いい機会だから先生に色々教わっておきなさい。」
ブーーーッと噴出してしまいました。嘘みたいな話ですけど本当なんです。穂花風味と親しげに話しすぎたのがいけなかったのか、それとも魂の屈伸がいけなかったのか、兎にも角にも女医・朝河蘭へ僕の腹囲がメタボ基準として報告されることに。
もう身長でも160代のレッテルを貼られ、腹囲ではメタボのレッテルを貼られ、まったくもっていい所なしの私はもう恥ずかしさで帰りたい思いを抑えつつ、最後の痴女風の女医のもとへ。まぁ予想していた通りなんですが、懇々と内臓脂肪性肥満がもたらす疾患等をご教示されてしまい、挙句の果てにレントゲン写真の心臓部位を示され心臓がやや大きめだとか骨が太くて野蛮人型であるとか、肋骨が人より丈夫だとか、もう踏んだり蹴ったりでした。ただ、唯一褒められた点がありまして、私は中学でご多分に漏れずイキがって煙草を吸い始め、大学では2箱/日という妖怪煙草鬼吸い男でした。しかし社会人になってから煙草をやめ、ようやく肺がまっさらな非喫煙者と同じ状態になっていました。賢明なる読者諸兄も是非これを機に禁煙をおススメします。なぜならばこの状態でさらに私の肺が汚かったら、この女医に何と罵られたか解りません。きっと精神的に立ち直れない程深い傷を負わせられていたのではないでしょうか。
そしてようやく解放されてさぁ着替えて戻ろう、としたその時、さらなる追い討ちダウン攻撃が私に突き刺さり、私は屈辱的なKOをされるのでした。
「あ、待ってくださーい、メタボ基準の方はこの後講習がありますので。」
冴えない中年のメタボオッサンに混じりながら、診療所の一角でメタボ講習を受ける私。
しかも、渾身の
カニエ・ウェストTシャツが目立ちまくっていた事は賢明なる読者諸兄にも容易にご想像できるのではないでしょうか。看護婦ちゃんにも軽蔑され、保健師さんにも侮蔑され、女医には呆れられる、「モテモテ・健康診断」の予定が「恥辱のドM健診 by Moodyz」になってしまったのでした。
これを読んで愚かだと思って笑っている読者諸兄がいたとしたならば、警告しておきましょう。VFはいくらスポーツといえど、痩せる事は決してありません。繰返します。自分には関係ないとタカをくくっている貴兄、VFが趣味である限り、メタボはすぐそこに来ています。更に付け加えると、VFフリークの貴兄ら、姿勢を悪くプレイをしていると身長が縮んでしまうという驚愕のこの事実を是非とも心に留めておくとよいでしょう。